昭和から平成、そして未来へ_その2
高尾山(20180429)
前回に引き続いて、今回は昭和時代後半から平成時代の技術の流れについて概観してみたい。
昭和60年代になるとカメラやテレビといった旧来の製品が成熟してきた。そして新たな技術の模索を得て姿を現したのがインターネットだった。インターネットが一般に知られるようになったのは1995年頃、一般に普及を開始したのは1990年代後半になってからである。それからの約20年間の技術の進歩と普及には目を見張るものがあった。
インターネットにより、誰でも世界中の人々と瞬時につながり情報を交換できるようになった。また、国境を越えて情報が飛び交い、人の動きや国際情勢がリアルタイムで分かるようになってきた。また、インターネットは商品の流通、人々の働き方、教育等、政治・経済・社会のあらゆる面において大変革をもたらしている。
そして、情報通信技術とハードウエアの高集積化技術、高密度実装技術が集大成したのがスマートフォンであった。スマートフォンの進歩は、それまで経済発展を牽引してきたデスクトップパソコンやデジタルカメラ等の製品の売れ行きにも大きな影響を与えてきた。
技術の歴史から見ると、情報通信の時代はまだ始まったばかりである。今後スマートフォンがどのような形態に変化していくのかわからないが、技術は留まることなく進化していく。不便と感じるところがあればそれは必ず改善される。そして、これからも際限なく進化を遂げていくと思う。
また、車や家電製品等のすべての製品がインターネットにつながるIOT(Internet Of Things)は、これからの社会を変えていくビッグな技術である。
もうひとつ特筆すべき技術が人工知能である。この技術は突然出現したものではなく、その原型が発表されたのは半世紀以上も前のことである。そして、これまで蓄積されてきたニューラルネットの技術をベースに、アルゴリズムの改善、インターネットなどの情報通信技術、コンピューターの高速化等の技術が融合して実用化に至った。今後、さらに改善されながら社会を大きく変革する技術に育っていくと思う。
平成の時代に入ってから目覚ましい進歩を遂げた他の技術として生命科学がある。遺伝子レベルでの病気の解明や医薬品の研究はまだ始まったばかりである。まさにこれから医療革命が始まろうとしている。
以上、平成時代に入ってからのいくつかの革新的な技術について述べてきたが、これらの技術に共通しているのは、インターネットが中核となってさまざまな技術が融合している点である。生命科学もそのような方向で発展していくのではないだろうか。平成時代は、人類史に残るような特筆すべき技術革命の時代であり、それがわずかこの四半世紀の間に実現したのは驚きである。
歴史は繰り返すという。しかし、インターネットの出現によって、これから前例のない新しい歴史が作られていくのではないだろうか。私は、科学技術によってもたらされる社会の変化を楽観的に見ている。副作用はあっても、それを克服しながらより豊かで平和な社会の実現に貢献していくものと信じている。
つづく
次回は「技術と社会の未来」について述べてみたい。
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