徒然なるままに

あるがままを生きる

株式投資の神髄を考える

       

数年に一度の規模の株価崩落から一カ月以上が経過しているが、市場に対する疑心暗鬼が続いている。市場に悲観ムードが漂ってくると、これまで無視されてきた材料だけでなく、ときにそれまでの好材料までもが悪材料として報道されるようになり株価の下落に拍車をかける。逆に楽観ムードが漂ってくると悲観材料は無視され、ときに悲観材料と思われるものまで好材料として解釈され株価を押し上げていく。専門家が口にする株下落の原因の多くは、後講釈や相場を攪乱して利益を得るファンドの口実であることが多い。株価はニュースになる前に織り込んでいくから、ニュースに敏感になって売買を繰り返していると後手後手になって損失を膨らましてしまう。相場の流れの根底にあるものは何か?それは、需給と経済のサイクルである。日々の株価を決める材料は複雑雑多であるが、ほとんどはこの2つに帰着されるのではないだろうか。


日々の相場においては専門家による難解な楽観論、悲観論が交錯するが、私にはそれがどれほど意味を持つものかわからない。確たる予測は専門家にも不可能なことを、素人に分かるわけがない。素人は様々な情報に振り回され、ただただイライラ感だけがつのってくるばかりである。結局、都合の良い情報のみを頼りに、“高値掴みの安値売り”ということになってしまう。私は専門家の情報を読むとき、客観的な情報に基づいて本質を見抜いているかどうかに注視している。この点で信頼に足る情報は非常に少ない。日頃から信頼できる情報源を捜す努力をすることは大切なことだと思う。


「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」、アメリカの著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉である。相場のテクニカルなトレンドを集団心理から推し量る先人の知恵でもある。まさに相場の核心を突いた名言であり、いつも胸に刻んでいる。私の理想とする投資姿勢は、将来成長の見込める有望な企業も見つける、経済の長期的なトレンドと需給の動向をつかむ、売買のタイミングをつかむ、そして長期投資である。投機的な投資はパチンコや競馬と同じで、運よく成功してもやがては大失敗して取り返しのつかないことになるのではないだろうか。


個人的には、今回の株価崩落は一過性のもので短期的には立ち直ると見ている。しかし、いよいよ長期に渡る本格的な調整に備えるべき時期に差し掛かってきているのではないだろうか。真の実力が問われるのはこれからである。いまこそ、「マンガーの投資術」に学ぶべきときである。


という投資歴30年の私自身、何度も痛い目に会いながら、分かってはいるつもりでも欲望に勝てずに楽観ムードの中でついつい買ってしまう。無茶をやる勇気はあるが、克己心や忍耐力が足りないのである。株式投資は自分との戦いであり、自己鍛錬の場でもある。いやはや、言うは易く行うは難し。


『投資で成功するカギは自分自身に内在する。感情をコントロール出来ないならば、投資のプロセスには向いていない』・・・ベンジャミン・グレアム、 まさに言い当てている。

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