徒然なるままに

あるがままを生きる

吾輩は野良猫ニャン


<シリーズ第6回目>



             男前?女の子だよ(ララ:1歳6か月)


野良猫のララとその母猫であるタマとのつきあいも、日々の生活の中に溶け込んできた。子猫を捕獲した昨年7月から、次々と降りかかってくる難題に四苦八苦したのが遠い昔のことのように感じられる。


この親子はちょっとした周囲の変化にも敏感に反応するように、非常に繊細である。扱いにくいこの繊細さが苦労の一因でもあった。この繊細さは野良猫一般のものと思っていたが、どうもこの親子の個性のようである。猫も人と同じで、それぞれに個性がある。


ララは、相変わらず夜暗くなってから、ベランダから私の部屋を覗き込みながら、前足でガラス戸をノックする。体をウエットティッシュできれいに拭いてやってからベッドイン。最近、“グルグルグルグル”喉元を鳴らしながら、枕元から布団の中に入ってくるようになった。そのあたたかい温もりが伝わってくると、この子たちを守ってあげないといけないという思いがいっそう強くなってくる。昨年の7月、ララを保護した後、いつまで経っても馴れる気配がなく、絶望していた頃を思い出すと感慨もひとしおである。


部屋に備えておいたトイレにオシッコもするようになった。しかし、ウンチだけは外のようである。彼女なり気を使っているのかも知れない。どうして時間がわかるのか、早朝4時になるとノコノコ起きて、ガラス戸の手元で私を振り返りながらニャーニャー鳴く。“窓を開けてクレ~”という合図である。そして外の濡れ縁に備え付けの手作りのタワーで朝食を待っている。おかげで、私も早寝早起きの習慣が身に付いてきた。このようなラブラブの関係を私の家族が気付いているかは定かでない。ララも周囲に気付かれないように気を使っているのかも知れない。


ララは、食事前はベタベタ付きまといながら体をスリスリくっつけてくるのに、食べ終わると逃げ回り、体を触れさせてもくれない。きまぐれ身勝手な猫の性格をよく表している。


ララが朝食を終えた頃、母猫のタマがどこからとなく現れる。先日の台風21号がやってきたときは、どこに避難しているのだろうと心配していたが、夕方になってやっと姿を現してくれた。タマに出会って1年半以上が経過しているのにいまだに警戒心が強い。食事を終えると、濡れ縁に備え付けた手作りのホットカーペット付きの小屋には見向きもしないでどこかへ消えていく。野良でいつも緊張の生活を強いられているのだろう。


表情がやや柔らいできたタマ(2歳6か月~3歳?)。でも、どこか寂しそう。話しかけると、会話でもするように多様な鳴き声で応えてくれる。


このようなタマも、ガラス戸を少し開けて腕を伸ばし首筋を撫でてあげと、気持ちよさそうに体をあずけるようなしぐさをするまでになった。牙をむき出してシャーシャー威嚇していた頃と比べるとかなりの進歩である。しかし、ガラス戸を大きく開けると逃げてしまう。傷ついた繊細な心を癒すには、まだまだ時間がかかりそうである。年をとる程に環境に順応するのに時間がかかるのは、人間に限らず動物一般の傾向のようである。


やせ細った野良猫(タマ)が悲痛な鳴き声をあげながら、我が家の裏庭にやってきたのは、まだ寒さ厳しい昨年の2月の中頃だった。おそらく、このときララを宿していたのだろうと思う。妊娠して十分なエサも見つからず死の縁をさまよっていたに違いない。それを救ってやったのがこの子達とのつきあいの始まりである(前掲「子猫を連れてきた野良猫」)参照)。ララを保護するまでの母猫タマの献身的な育児など、繊細でやさしい一面をつぶさに観察していたので、とりわけタマが愛しい。


これまでの苦労を振り返ると、もう二度とこのような経験はしたくないというのが正直なところである。野良猫を保護する場合は、野良猫保護の団体の協力を得たほうが良いと思う。これから、また厳しい冬を乗り越えないといけない。できるだけのケアをしているつもりでいるが、相手はきまぐれ繊細な野良猫、及ばないところもある。心配は尽きない。我が子への思いと同じである。


1コメント

  • 1000 / 1000

  • かなみ先生

    2017.10.25 08:03

    初めまして😊何だかお話しに共感出来ます。私も自分宅の野良を世話してしましたが、いつも悩んでばかりです😓外猫とのお付き合い難しいですが、だんだん通じるみたいです❤️