徒然なるままに

あるがままを生きる

とんだサイクリング...


週末になるとサイクリングを楽しんでいるが、ここ2カ月程、あきる野市五日市から桧原村周辺の山々を走り回っている。


昨日の敬老の日(9月19日)は、八王子市の陣馬街道から入山峠を越え、五日市を周回するコースを選んだ。走行距離は約50kmと、初老にも無理なコースではない。台風一過の澄んだ空気を全身に浴びながら疾走するのは実に気持ちがいい。陣馬街道から林道に入るといきなり急勾配の坂が4-5kmも続く。もちろん、初老の身、自転車を漕いで登る体力はないのでヨッシャヨッシャ押しながらゆっくり登る。


                              大自然と大都会、入山峠付近から都心方向を望む(手前は八王子市)


                                                  左遠方にスカイツリーがかすかに見える


道はやや荒れていて、ところどころ落石や崖が崩れているところがある。周りは杉林で鬱蒼として心細い。たまに、若者が自転車を漕いで登って行く。「や~すごいなあ」と感嘆する。標高約600mの入山峠付近のトンネルを過ぎると急に視界が開けて、八王子市から都心までを一望できる。ここでしばらく一服してから、しばらく行くと五日市に向かって下りに入った。約7kmもの、風を切りながらの滑走が始まる。風を切りながら下るときの爽快な気分を一度味わうと、山のサイクリングが止められなくなってしまう。

            

峠から1-2kmも下っただろうか。“ガタン”と尻に振動が伝わると同時に“プシュー”と音がした。パンクである。周りは薄暗くて誰もいない。心細いといったりゃありゃしない。これから楽しみが始まるというのに何ということか。幸い、このような時に備えて修理道具を常備していた(つもりだった)。さっそく、後輪のチューブを引っ張り出してみると、かなり大きな亀裂が2か所あった。そこで、サンドペーパーで切れた個所を磨いて、ゴムの接着剤をつけようとしたところ、なんとなんと、接着剤がきれいに揮発してしまっているではないか。1年以上も放置していたのだ。頭を抱えてしまった。実はこんなこともあろうかと、交換用のチューブも準備していた。そこで新しいチューブを取り出してよく見ると、チューブのバルブがフランス式になっており、常備していた空気入れが使えないのである。点検ミスである。こうなったら、五日市の自転車店まで歩いていくしかない。


頭を抱えているところに、マウンテンバイクに乗った中年の男性が声を掛けてくれた。

「どうしたんですか?」

親切に慰めやアドバイスをもらったが、残念ながら修理の工具は持っていなかった。しかし、困ったときに声をかけてもらえると元気がでる。ありがたい。


ついに、山の上から自転車を押して下ることになってしまった。しかし、いつまで経っても人家が見えない。1時間程歩いたところで、やっと人家が見えてきた。ホッとした瞬間である。途中、子連れの若い女性が、

「お気の毒に、、、、」

「お気をつけて~」

などと大きな声を掛けてくれた。心細いときに温かい人情に触れると涙が出るほどうれしい。


               豊かな自然のなかでの人々の暮らし


1時間半ほど歩いて足が棒になったところで、五日市の市街にたどり着いた。ところが、この日(月曜日)はどこの店も休業である。途方に暮れているところに、見知らぬ爺さんが駆け寄ってくれた。この爺さん、いっしょになって心配そうな顔をしてくれている。爺さんに案内してもらって、休業の自転車屋の玄関のベルを鳴らすが留守である。不運はこんなにも重なるものだろうか。やがて爺さんとも別れ、つぎに武蔵五日市駅前の交番で自転車屋さんを探してもらうことにした。そして、ついに近くに自動車の整備工場があったので、お願いしたところ、やっとのこと修理していただくことができた。パンクから3時間半、体はクタクタだったが、おかげでなんとか帰路につくことができた。


万全の準備をしていたつもりだったが、ほんとうの危機に直面しない気の緩みが、本番でこのような事故を招いてしまった。日頃の点検を欠かさないようにしたいと思う。やはり、大震災対策が気になる。さっそくチェックだ。


あとがき

サイクリングは心身の健康だけでなく、人との出会いも楽しみの一つである。走っていると若い青年たちから大きな声であいさつされることも多い。たくさんの温かい人情に触れることができた。山中でパンクという悲劇はあったが、それを補ってあまり忘れられない良い思い出になった。

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