徒然なるままに

あるがままを生きる

吾輩は野良猫ニャン

                         極楽極楽


                         完全無防備


縁あって我が家の世話になることになったララは、いまだ野良猫の身分である。しかし、家猫と同様に愛情たっぷりに面倒を見ているのですっかり我が家に懐いでしまった。一日2回の食事の時間になると、どこからともなく我が家の裏庭にやってきて、か細く切ない鳴き声を上げる。これがジンジンと胸に響いてくる。続いて母猫のタマもどこからともなく現れる。ララを居間に呼び込むとニャーニャー鳴きながらスリスリ体をこすりつけてくる。食事が終わると、あたり構わず噛みついてくる。親愛のつもりで甘噛みしているのだろうが、これが痛い。振る舞いがやや乱暴なところは野生育ちなので仕方ない。


夜になると、ララは2階のベランダから窓越しにニャーニャーあいさつにやってくるようになった。どこからどうやってくるのか分からない。まるで忍者のようである。窓を開けると飛び込んでベッドの片隅で休むようになった。ベッドの上のララは、全身を伸ばしてすっかりくつろいだ様子でグーグーいびきを掻きながらよく眠る。ここまで私を信頼してくれているのだから追い返すわけにもいかない。ズルズルと情は深まるばかり。しかし、分けあって家猫の身分にはなれないのだ。


ララはベッドの片隅ですっかりくつろいでいるように見えても、かすかな聞きなれない物音や振動にも敏感である。全身の感覚を研ぎ澄ました緊張感がこちらにも伝わってくる。身じろぎもしないで半開きした瞼の奥に光る眼光は野生そのもので迫力がある。やはり普通の家猫とは違う。よく映像で見かける、野生のトラのあの精悍な鋭い眼光である。この猫の種類を”キジトラ”とはよく言ったものだと思う。


ララは、いつも夜の8時頃やってきて、早朝4時頃部屋を出ていく。どうやって時間がわかるのかと思うくらい几帳面である。その間、トイレに行く様子はない。心配なのでトイレも用意してやったのだが用を足した様子はない。


外の世界で、彼等が最も緊張する原因は猫同士の争いのようである。一歩外に出ると戦いに神経をすり減らすのは人も猫も同様のようである。野良猫に安息の場所はなく、いつも緊張の連続なのだろう。彼らは不安や恐怖の中で、あたたかい人の救いを求めている。

出会ってから1年、次々と新たな課題が出てくる。決して楽しんでやっているわけではない。むしろ苦労が多い。ペットを遺棄しない。ペットは去勢/不妊手術をする。この原則を守ればペットも人も幸せになれる。ぜひ守ってもらいたいものだと思う。

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