徒然なるままに

あるがままを生きる

紅葉巡りのサイクリング



モヤモヤとした気分を解消するには、運動で汗を流すのが一番である。紅葉巡りも兼ねて、東京都南多摩の山の方向に自転車を走らせた。目的地は八王子市の上恩方町から、あきる野市五日市に抜ける盆掘林道の途中にある入山峠である。ここは昨年以来3回目のサイクリングである。峠付近からの絶景がすばらしく、大好きなコースの一つである。



八王子市の陣馬街道を経由して約15km走ると、“夕焼け小焼けふれあいの里“にたどり着く。ここは、”夕焼小焼“の作詞者として知られる詩人の中村雨紅が生まれ育った風光明媚な山里である。中村はどのような思いでこの歌を作詞したのだろうか。鹿児島の同じような山里で、私が子供の頃から慣れ親しんできた童謡である。その作詞者が生まれ育った地に立っているかと思うと感慨深い。


八王子市上恩方町;中村雨紅のふるさと、昔は茅葺の家だったに違いない


1 夕やけこやけで 日が暮れて

  山のお寺の 鐘がなる

  お手々つないで みなかえろ

  からすといっしょに かえりましょう

2 子供がかえった あとからは

  まあるい大きな お月さま

  小鳥が夢を 見るころは

  空にはきらきら 金の星


この山里に立っていると、いまにも“夕焼小焼”の歌が聞こえてくるようである。

途中、案山子が立っている段々畑があった。なつかしい。


すべて案山子と思いきや、爺さんに睨まれていることに気付いて、思わずシャッターを押す手が震えてしまった。イノシシやサルが出没するのだろう、これから上る林道がやや不安である。


“夕焼け小焼けふれあいの里“からさらに1km程進むと、やがて五日市へと通じる林道に入る。ここから入山峠まで約4kmの急坂が続く。自転車を押しながら進んでいると、後ろから欧米系の2人の外人さんが、足取りも軽くスイスイと勢いよく自転車をこぎながら登ってきた。

「こんちわ~」

流ちょうな日本語である。お年は1人は60歳前後、もう1人は50歳前後だろうか。肉食系と草食系の違いか。彼らのパワーには驚くばかりである。


1時間ほど自転車を押しながら登っていくとやがて、林道の勾配がなだらかになったところにトンネルがある。このトンネルまでは、杉林や広葉樹林が鬱蒼としていて心細い。しかし、トンネルを抜けるとそこには絶景が広がっていた。それまでの疲労が一気に吹き飛んで行った。この瞬間がたまらない。


林道頂上付近にあるトンネル


晩秋の日差しを浴びた紅葉と杉の木の緑の模様が美しい


眼下に見えるのはわが町、八王子市、はるか遠方に都心がかすかに見える


この絶景ポイントを過ぎ、しばらくして林道の頂上にたどり着くと、先ほどの外人さんが休憩をとっていた。

「どこからこられたんですか?」

「高尾駅です。高尾駅までは電車でね。」

都心かららしい。

「五日市で温泉に入って、武蔵五日市駅から電車で帰ります。」

旅を兼ねてサイクリングを楽しんでいるようだ。うらやましい。

「ここは初めてですか?」

「何度も来てますよ」

やはり、お気に入りのコースのようである。


しばらく立ち話しをした後、

「お気をつけて!」

「は~い、どうも、お気をつけて!」

互いの無事を祈って別れた。


サイクリングはこのような人との出会いも楽しみのひとつである。



昨年のサイクリングでは、この林道の頂上付近で自転車がパンクをしてひどい目に会ったが、今回は麓まで無事にたどり着くことができた。五日市で一服した後、帰路についた。全行程約50km、所要時間5時間のつかの間のサイクリングだった。


五日市の清流



おわり

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