私の株式投資情報と、はじめての株式投資の心得雑感
情報技術の進歩は日進月歩で留まるところを知らない。つい最近まで(20年ほど前まで?)、情報の取得に膨大な労力と時間を要していたのが、今ではほとんどお金をかけることなく瞬時に様々な情報を入手することが可能になってきた。しかし、玉石混淆の情報洪水の中で情報の信頼性の評価は容易でない。株価に影響する経済動向の予測は困難であり、楽観論や悲観論が交錯する。いずれ、ビッグデータ解析技術やAI技術の進歩により、その信頼性を定量化できる時代がやってくることは間違いないだろう。もっともそうなれば、スペシャリスト不要ということになり兼ねないのだが・・・しかし、当面は自己責任で選ぶしかない。
私が株式投資を始めたのは今から35年前になる。しかし、中断した期間もあるので通算20年程度のキャリアである。当然のことながら1990年代初めのバブル崩壊においては経験不足も手伝い大損した。リーマンショック時は、経済的に余裕がなく株式投資から撤退していたので運よく被害に会わなかった。アベノミックス相場においては世間並みに大儲けさせていただいた。つまり市場の成り行き任せだった。ただ本能的に安いときに買うという努力をしたことが一つの救いだった。しかし、改めて本格的な投資の勉強をすることにより、過去の投資がいかに無謀なものだったかを思い知らされた。経験年数のみでは失敗談を語るには豊富かも知れないが当てにならない。ここ数年は本格的な研究と実践により、ある程度の成果を堅実に上げるようになってきた。
私はこの世界ではまだまだ初心者である。以下、恥を忍んで私の株式投資における投資情報と投資の心得について述べたい。初心者だからこそ紹介できることもあるのではないかと思っている。
投資情報について
〇 日々のニュース
特別な情報源は持っていない。日経やロイター、専門情報サイトとしてはKabutan、テレビはテレビ東京のモーサテが中心。
〇 中長期的な内外経済の動向
“知ったらおしまい”という相場格言がある。予見可能性の高い材料はつぎつぎと株価に織り込まれていく。好材料がニュースになったとたんに利益確定売りによる株価急落というのは枚挙に暇がない。いまだに私も時々嵌ってしまう、初心者が最も陥りやすい罠だと思う。株価を左右する好材料は、ニュースになる前にいち早く先取りして投資しないと大きなリターンを得ることは難しい。しかし、株価を左右する経済動向の予測は非常に難しいのでスペシャリストに頼ることになる。しかし、スペシャリストの悲観楽観の様々な見解が錯綜し、素人はどの情報を信じてよいかわからない。そこで私は信頼している数人に絞って情報を得るようにしている。ノイズに振り回されないように、その他のスペシャリストのコラムは、斜め読みするか無視することが多い。特に中長期的な内外経済の動向については枝葉にとらわれることなく、底流に流れている本質を理解するように努めている。以下に私がお世話になっている代表的なスペシャリストを紹介する(敬称略)。
・窪田真之:楽天証券株式会社
連日、豊富な経験を基に中長期的な経済動向はもとより銘柄の紹介までしてくれる。情報に信頼性があり実戦に役立つ。“毎日書くのはたいへんだろうなあ”と同情しながら読んでいる。
http://www.sc.mufg.jp/report/fj_report/
ときどきテレビでおなじみの百戦錬磨のスペシャリストである。ほぼ週に1回レポートを提供してくれる。豊富なデータに基づく解説は切れ味鋭い。時々競馬のはなしも出てくので競馬ファンかな。人間的な幅の広さも感じさせてくれる。
http://www.musha.co.jp/
豊富なデータを基にした評論は、考え方の基軸が明確で理路整然としており説得力がある。悲観的な材料ばかり並べ立ててエリート気取りしているスペシャリストや経済評論家が多い中で、楽天的で明るい評論は希望と元気を与えてくれる。もちろん明るいだけではない。
こちらもテレビでおなじみ。株式投資に直接役立つ情報は少ないが、世界的な経済動向を見据えた評論は、世界を股に活躍してきたスペシャリストだけあって説得力がある。日経新聞への連載でもおなじみ。読者に語り掛けるような気さくなコラムが親しみやすい。
まだ他にも、気鋭のスペシャリストは大勢おられると思うが、定期的にレポートを公開しているスペシャリストを余り知らない。
上掲のスペシャリストは投資を直接手引きするわけではない。スペシャリストの見解を参考にしながら最後は自己責任で総合判断するしかない。
〇 投資スタイル
投資スタイルは百人百様、他人の投資スタイルを鵜呑みに適用しないことが大切だと思う。例えば、株式投資においてはよく損切りの重要性が説かれる。私の場合は損切したあと、我慢してもう少し保有しておけば大儲けしたようなケースが多かった。株価下落の要因や銘柄の癖等を分析して柔軟に対応したほうがよいと思う。損切りは、しっかりした攻めの投資戦術と一体として適用することにより初めて生きてくる手法であり、専門家のアドバイスを鵜呑みにして、機械的に自分の投資スタイルに当てはめると損ばかりが増えていくことに成り兼ねない。また他人の投資スタイルをそのまま真似ようとしてもなかなかうまくいかない。研鑽を積みながら自分の性格に合った投資スタイルを身に着けていくしかないと思う。
ただし、相場格言は投資スタイルに関係なく普遍的な真理を突いたものが多いので参考になる。経験を積み重ねることにより、初めてその重みを理解できるものも少なくない。私自身への戒めとして“落ちてくるナイフはつかむな”という相場格言がある。しかし、分かっているようでも同じ失敗を繰り返してしまう。沁みついた癖を直すのは容易ではない。
〇 投資タイミング
短期的には日々のニュースが、中長期的には上掲のスペシャリストの投資情報が基本になる。Kabutanの株価チャートはたいへん使い易いので重宝している。
〇 投資銘柄
特別な情報源は持っていない。短期の投資は主に日経を参考にしている。中長期投資は主に証券会社が提供している投資情報や、会社のホームページのIR情報を利用している。
はじめての株式投資の心得雑感
株価は政治や経済の動向だけで予測できるような甘い世界ではない。海千山千のつわものが、あの手この手の戦法で仕掛けてくる怪しい世界でもある。昨年、麻生副総理が証券業界に関し「詐欺かその一歩手前のようなことをやり、『あんなやくざなものは辞めろ』と親に勘当されたやつがいるぐらいだ」と述べたことがあった。麻生さんらしい失言だが、当たらずとも遠からずの印象はある。初心な投資家はつわものの食い物にされながら、自分に最も合った投資スタイルを身につけていく。継続的に利益を上げるようになるまでには、七転八起の長い経験が必要になる。その間には大きな失敗もする。おそらく誰もが避けて通れない道だと思う。だから“定年後に株式投資はやるな”とよく言われる。これは“株式投資の経験のない人は定年後から始めるな”いうことだと理解している。やり直しのきく若いうちから投資経験を積んでおくことが大切だと思う。
いつも株価に影響する悲観材料には事欠かない。しかし、悲観材料が晴れるの待っていては投資のタイミングを逃してしまう。株式投資においては、日頃の研鑽はもとより“最後はリスクを賢く積極的に取る強い気持ちがないと勝てない。また評価損が発生しても冷静に対応できる精神力と、リスク許容範囲内で投資をする自己管理能力が要求される。知恵、精神力、自己管理能力はもとより、最後は胆力と決断力の勝負である(あこがれではあるが、残念ながら私はいずれも持ち合わせていない)。これが株はギャンブルだといわれる所以かも知れない。正確な定義は別にして、損や失敗をする可能性があるものに賭けることを“ギャンブル”とすれば、程度の差はあれ、人生はギャンブルだらけではないか。堅実だと思われる貯金だってインフレになれば目減りするのでギャンブルである。結婚は最大のギャンブルといったら怒られるだろうか。最もいけないのは、大切なお金を能力や実力も知らない他人に一任して運用することである。これはギャンブルを通り越して無謀の典型例だろうが、当人にはこのことがわかっていないのが悲劇である。そういえば、最近だったと思うが、定年退職した複数人の元高校教師が、虎の子の退職金の運用を他人に一任して大金を失ってしまったというはなしがニュースになっていた。笑うに笑えない。
以上、がっかりした人もおられると思うが、残念ながら私は株式投資で確実に儲かる情報やノウハウを持ち合わせていない。
最後にこれから株を始めようとしている人へ、“儲け話にはくれぐれもご用心を、株式投資に王道なし”
おわり
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